令和5年4月

何より大事なのは、「距離感」!

 埼玉県立所沢西高等学校の全校生徒の皆さん、こんにちは。校長の田中です。令和5(2023)年度のスタートにあたって「距離感」をテーマに話をしたいと思います。

 新入生の皆さんは、4月10日(月)が入学式です。この日から名実ともに所西の生徒となりますので、この紙面(ネット上ですが)では、新2年生、新3年生にとっての進路実現を例に距離感について少し整理します。

 まずは新2年生にとっては進路実現まで、あと2年。新3年生に至っては1年後。とは言っても、この2年、1年という時間は在籍年度の区切りであって、実際はこれより2~3か月早いのが通例です。3年生で早々に進路が決まる人は、余すところ約6か月と言っても大袈裟ではありません。

  人はゴールを設定したところから逆算して、十分時間があると感じると「まだ、早い」とか「まだ、十分時間がある」、「もう少し後でも十分間に合う」と思いがちです。逆に残りがわずかになってくると…。「もう間に合わない!」とか「今更やっても間に合うはずがない」と自虐的な言葉を発したくなるものです。ですから時間があるうちにしっかり計画を立ててください。もっと言えば「戦略(課題解決や目標達成のために進むべき方向性やシナリオ)」を立てて臨んでください。

 この戦略を立てるにあたっても距離感が大事です。自分と自分が希望する進路との間にどれくらいの距離があるのか?例えば四年生大学進学で言えば、ずばり、今の自分の学習到達度と希望する大学の難易度にどの程度の距離、隔たりがあるのかを虚心坦懐、冷静に受け止めて準備する必要があります。距離があればあるほど、早めの準備が必要なのは言うまでもありません。基礎を何とか固めて、過去問にはいつ頃から取り掛かるのか?等、ざっくりとした計画を早めに立てることです。そして計画は進捗によってその都度、修正していくものです。大雑把な計画を一刻も早く頭の中に描き、よし!と思った時に文字化しておくことです。そして自宅の学習スペースに掲示等して、毎日、目にする、見る!のがお勧めですが、時流に乗ればスマフォのスケジュールに入力しておくのもよいでしょう。

 

 この「距離感」はあらゆることに応用できると思います。部活動に目を転じてみましょう。運動部活にとってはある種、距離感が全てであると私は思っています。学校要覧という本校の情報が詰まっている冊子に記載されている順番を基にざっと見ていきます。

 まず剣道。間合いが大事、相手との距離をどうとっていくかが勝敗を分けると思います。野球は、ボールとの距離感が名手、名打者とそれなりの選手を分けると思います。ソフトボールも同様と言ってよいでしょう。サッカーは、パスをもらったボールをどこに置けるか?バスケットボールも似ていると思います。自分がボールを持っているとしたら、そのボールを自分の体のどこに置いて、相手とどう距離をとるか。サッカーもバスケットボールも体とボールの位置、距離をどう置くかが大事だと思います。例えば今、ボールを持っていて、そのボールをガードするように自分がいて、自分の背中の方に相手がいればボールを奪われる確率は低くなり、このボールキープが理想だと思います。卓球、テニス、ソフトテニスは、ボールをどこでとらえるか、相手コートの前後左右、どこに配球するか、その距離感が大切だと思います。バドミントンも自分の体とどれ位の間、距離感でシャトルを打つか。アウト、インが微妙なコート内の距離感を踏まえたプレーが大事だと思います。バレーボールは、レシーブ、トス、アタックとも自分の体とボールとの距離感が大事だと思います。陸上競技は、ゴールまで、相手まで、どれくらいの距離があるか、その距離感、また、ラインを踏んでファウルしない距離感が大事だと思います。ワンダーフォーゲルは、目的地までの距離、仲間との間隔等に留意して歩を進めるのが大事だと思います。

 全てにおいて近づきすぎてはいけないし、もちろん遠すぎてはNGです。体との距離は滅茶苦茶だが、超美技とすれば、それはスーパープレーであって、毎回安定してできるものではないと思います。

 文化部にも当てはめられると思います。吹奏楽も各楽器と体の適切な距離があってよき音色が出せるのだと思います。音の響き、立ち位置を含めた仲間との距離、ピアノも他の楽器も名手は佇まいが美しい、物理的に楽器との距離が自然、等々。

 

 だいぶ長くなりました。この続きは4月10日(月)の令和5(2023)年度、第1学期、始業式の校長講話で話します。つづく。