令和5年5月

5月 校長室より

  所沢西高校の全校生徒の皆さん、こんにちは、校長の田中です。                

 1年生は、新しい生活のリズムが整ってきましたか?2・3年生は学習面はもとより、大会たけなわな部活動や学校行事の準備等、共に学校の中心として忙しい毎日を送っていることと思います。春の後半にあたる季節、引き続き健康に留意して過ごしてください。 

 さて5月の「校長室より」は2部構成にします。では早速1部を始めます。

1 目の前の課題に集中しよう!

 有意義な学校生活を送るうえで、計画を立てて実践していくことはとても大切です。すでに担任の先生はじめ、学年だよりなどで様々な角度からアドバイスがあったと思います。計画を立てたら、ひたすらそれに向けて着実に進む。その中で少しずつ微調整しながら進んでいくことになると思いますが、とにかく自分にとっての目の前の課題にシンプルに集中して取り組み続けてください。取り組み続けることによって新たな出会い、時には想像していなかった展開に進むこともあるようです。

 相当スペシャルな例ではありますが、目の前の課題に一生懸命取り組んでいたところ思わぬ展開が待っていた2人を紹介します。一人目は、チャンネル登録者20万人以上のYoutuberの葉一さん。塾講師の仕事をしていく中でより多くの人が見ることができるYoutubeに授業を投稿しようと思ったのが、ユーチューバーになったきっかけだそうです。二人目は、81歳でひな祭りをテーマにしたiPhoneアプリ「hinadan(ひな壇)」を開発して世界的に知られるようになったプログラマーの若宮正子さん。ガラケーからスマートフォンに乗り換えた友達のお年寄りから、年寄りには扱いにくいし、「年寄りが喜びそうなアプリなんかちっともない」という話を聞いて周りの若い開発者に「ねえ。誰かさ、年寄りが喜びそうなアプリ作ってよ」と言ったことから思わぬ展開となります。「若宮さんは自分がお年寄りなんだから、自分で作ればいいじゃないですか」と言われて、そうは言ってもそう簡単にできないと戸惑っていると、「僕らが教えますよ」と言ってくれる人がいて、聞いて聞いて、聞きまくってアプリが生まれたとのことです。

 葉一さんも若宮正子さんも目の前の仕事や課題に夢中になって取り組んだ結果でした。こうすれば確実にこうなるなどど軽々(けいけい)に言える例ではありませんが、目の前の課題に一生懸命取り組むことによって新たな扉が開いていった話はよく耳にするのではないでしょうか。何はともあれ目の前の自分の課題に集中して取り組んでみてください。

 

2 「4月校長室よりのつづき」のまとめ

 4月の校長室よりは、何より大事なのは、「距離感!」というテーマで進路の話、部活動を例にした話がだいぶ長くなり、「つづく」としました。2・3年生には、4月10日(月)の1学期、始業式の校長講話の中で初めて聞いても伝わるかたちで、内容としては続きを話しました。1年生には、入学式の校長式辞の中で話しました。

 コンパクトにまとめます。私はあらゆることに、この「距離感」が応用できると考えていますが、その中でも重要度ナンバーワンは、人と人との距離感、人間関係だと思います。皆さんにとって学校生活の中で一番身近な存在であるクラスメイト、部活動の仲間、友人との以下に述べる距離感を提案しました。

 子曰く、「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。」  

 先生はおっしゃいました。「徳のある立派な人は、人と仲良くしても何でもかんでも同じにはなりません。これに対して、徳の低い人は、思考停止と他者へ気遣いが高じて、人と同じにすることに意識が向いてしまい、違いを認め合いながら仲良くする、高め合うということができない。」これを学校生活にあてはめると、こんなイメージだと思います。普段は勉強でも部活動でも一人一人違った目標があって、それに向かって一生懸命取り組んでいる。そしていざ、体育祭や文化祭に象徴される、クラスで協力して何かをなす、という場合は、自分の考えを伝えるとともに仲間の考えに耳を傾け、皆が協力して一つもものをつくりあげる。このクラスメイト、部活動の仲間、友人との距離感は、皆さん一人一人がそれぞれに心地よい距離感があり、少しずつ違うものです。さらに自分自身の成長によって変わってくるものでもあります。よき距離感の中で高め合いながら学校生活を送ってください。