令和5年8月

世界は可能性に満ちている!

~高校生活は、近い将来、みなさんが羽ばたく準備です~

 

 夏季休業中の全校生徒のみなさん、こんにちは。校長の田中です。

 今回は「世界は可能性に満ちている」という話をしたいと思います。日々、耳や目に入ってくる日本、世界のニュースを聞いていると暗澹たる気持ちになることも少なくないと思います。ロシアのウクライナ侵攻はその最たるものだと思います。

 一方で、世界はAIの飛躍的な進歩など、一層先行き不透明な状況が進展しています。これほどの急激な変化は、数十年前のサイエンスフィクションの世界でも想像しえなかったことかも知れません。高校生活に話を戻しましょう。改めてですが、現在、みなさんが高校生活で学んでいる内容は、人類が膨大な時間と知恵、エネルギーを傾けて獲得してきた叡智のかたまりです。科学の常識を覆すような、さまざまな物理の理論を発表したアインシュタインは、事あるごとに先人の叡智があったからこそ、今の自分の研究があると感謝していたそうです。

 高校入試を突破して高校生活を送っているみなさんが、もし時空を超えて(タイムマシン?に乗って)例えば500年前、1000年前の日本又は世界に行ったとしましょう。そして、今持っている知識を存分に発揮した場合を想像してみてください。周囲から超人的な天才か気が触れたか?と受け止められることでしょう。多くの先人たちが生涯をかけて、また、人類が何世代もかけて積み上げてきた成果を私たちは、ほんの数年で学んでしまっているのです。

 

 「守破離」という言葉があります。「守・破・離(しゅ・は・り)」とは、ものごとを学ぶ基本的な姿勢、または取り組む順序を意味します。 もとは武道や茶道で用いられ、その後、学ぶ場ならどこでも、汎用的に使われるようになりました。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階ということです。所沢西高校の教育方針や「総合的な探究の時間」で取り組み、目指していることも「守破離」と言ってよいかも知れません。そして、みなさんの進路実現の大きな助けとなるものが、「守」だと言えます。「破」の段階の学びは、ほんの入り口程度となると思います。

 整理します。高校生活は、「守」、つまり、先人・人類の教え、叡智を確実に身につける段階です。進路実現のためには、これらをどの程度確実に身につけているかが問われるのです。今現在、様々なアイディアをもっているあなた!少しの間、封印してまずは、社会にデビューする切符を手にしましょう。切符は高校生活で得た学習成果というのが、今の世の中のルールなのです。様々なアイディアは、進路実現した後にそれぞれの活躍の場で披露してもらいたいと思います。

 さて、社会に出たらどんな活躍の場、「破・離(は・り)」が待っているか。それほど簡単ではない、という声も聞こえてきそうですが、先入観を振り払う夢のある例を話します。野球の本場、アメリカ大リーグで唯一カナダに本拠地を置くトロント・ブルージェイズ。2021年、大谷翔平選手とMVPを争ったゲレーロJrや日本からは菊池雄星投手が所属するチームです。アメリカでも球場に何とか足を運んでもらおうと各球団が様々な工夫、努力をしています。ブルージェイズは34年前に造った球場をおよそ430億円かけて大改修をおこないました。野球場の常識を超えた沢山の新しいエリアが造られ、子どもから大人まで楽しめるようなピクニックエリアの創設、投球練習をするためのブルペンの大改修、その他諸々の目玉エリアを造ったとのこと。中でも選手のためのブルペンを観客目線で楽しめるように改修したことに伴う球場の変化には驚きました。

 これまでは観客にとって、レフトスタンドの最前列で下を覗き込むようにしてかろうじて見えたブルペンをフィールドの高さから大幅に底上げしたのです。これにより観客席からブルペンで投球練習をする投手の表情まで間近で見られるようになりました。ブルペンの改修についてインタビューに答えた少年は、「ウォームアップする投手がよく見えるし、ホームランも飛んでくる!」と興奮気味に答えていました。

 観客目線で改修したブルペンは、フィールドを圧迫し、レフトスタンドのフェンスは見た目にも前に出ました。つまりピッチャーにとっては、これまでかろうじて打ち取った大飛球が、ホームランになってしまう改修だったのです。これを聞いて、頭の固い自分を反省しました。ホームプレートから右翼、左翼まで何mなければ…、などというのは一定の枠の中であれば、さほど重要ではなかったのです。観客あってのプロスポーツ、観客ファーストで考えると色々な可能性、夢が膨らみます。こんなサービス精神旺盛なこともあり大リーグの球場は個性的な球場が多いのでしょうか。

 

 社会に出たら学生の頃と比べて様相は一変すると言ってよいでしょう。もちろん様々な枠組みの中で仕事をすることになります。特に高校生までに身につけた「あいさつ、マナー、コミュニケーション」は社会生活送るうえで根幹となる人間力ですが、高校時代のように「先人の叡智の多くが身についているか?」を試されることは、ほぼないと思います。先人の叡智、知識・技能を用いてどんなものを生み出していくかが、問われます。その意味で大リーグ、ブルージェイズの例よろしく、「世界は可能性に満ちている」と強く感じます。当たり前と言えば当たり前ですが、改めて、近い将来、みなさんが大きく羽ばたくための準備期間が高校生活です。課せられた教科・科目を貪欲に学んでほしいと思います。

 猛烈な暑さが続いています。思うように勉強が進まない時は、気分転換をしましょう!疲れたら、まず体を休めましょう!眠かったら、しっかり睡眠をとりましょう!継続することが大事だと誰もがいいます。その継続は、2、3日、間が空いても、さらにもっと間が空いても大丈夫、心配無用です。目標に向かって歩みを進めることが、継続です。夏季休業真っただ中、自己実現、進路実現の準備のために部活動とともに学習活動に力を注いでください。